TOP > 過失割合 > 車同士の事故状況別過失割合

車同士の事故状況別過失割合

車同士過失割合

車同士の事故は人対車などと違い、双方が保護的立場にあるわけではなく同等であることから過失割合は事故状況から比較的容易に算出されます。

これはフルサイズの輸入車と国産の軽自動車が事故を起こしても、ボディサイズが異なるからといって変わることはありません。

事故状況からの過失割合算出が容易であっても、事故状況は一方的な加害者と被害者という立場から、双方に50%ずつの過失があると認められるケースまで千差万別です。

基本的に過失割合は道交法を元にして算出されるので、普段、車を運転していて判断を迷うようなケース、たとえば道路幅が同じ交差点で自車が右折する時と対面車が右折する時はどちらが優先なのか(これは対面車から見れば左折となるので対面車が優先)など、普段から道交法の知識を高めておくことが過失割合を減らすことに役立ちます。

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車対車の事故状況過失割合分類リスト

車対車の事故でも、事故の状況によって過失割合はさまざまです。知りたい事故状況をクリックすると該当の解説記事へジャンプします。

1.信号機のある交差点で直進する車同士

1-1.交差点の信号で一方が赤、一方が青の直進車同士の事故

事故状況
過失割合
A:0% B:100%

このケースでは明らかに赤信号を無視した車に過失があるので赤信号側の過失割合は100%、青信号側は0%となります。ただし、全面的に赤信号側の非となりますが、条件によっては青信号側にも過失割合が発生します。

その条件とは青信号側が制限速度を超えていること、また赤信号で交差点に進入してくる車を目視でき、回避できる速度でありながら回避行動を取らなかったことなどがあります。

直進の信号が赤から青に変わった直後、手前から信号が青だからといって安心して加速して交差点を走り抜けようとすることはよくあることですが、信号が黄色から赤に変わっても無理やり交差点に進入してくる車もよく見かけます。

そういった車に限って赤信号なのに加速してくるので青信号だからと安心せず、交差する道路への注意を忘れないようにしてください。

1-2.交差点の信号で一方が黄色、一方が赤の直進車同士の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

このケースの場合、黄色側の車は青から変わった状況ですが、一方の赤側は本来、停止していて青になるまで待たなければならない状況です。したがって過失割合は赤側の方が大きく80%、黄色側は20%となります。

信号機の黄色は道交法上、停止位置を超えて進行してはならないが、黄色の灯火が表示された時において当該停止位置に近接しているため、安全に停止できない場合は除く、と定められています。

つまり制限速度を守っている限り、停止線位置に止まるために急ブレーキを踏んで後続車に危険を与えるようであれば黄色でも進行してよい、という解釈なので、黄色側の過失割合が低くなるのです。

1-3.交差点の信号で双方が赤の直進車同士の事故

事故状況
過失割合
A:50% B:50%

直進方向の信号が赤の場合、双方に非があるので過失割合は50%ずつになります。ただし交差点にどちらが先に進入、いわゆる先入したか、その判断で加算が与えられます。

一般的に直進方向が赤同士の事故は信号機の運用上で設けている「全赤時間」、つまり交差点においてすべての信号が赤になっているわずかの時間に起きます。片方は黄色から赤に変わっているのに交差点へ進入、片方は青になるのを待ちきれずに発進するというケースです。

この場合、黄色から赤に変わった直後の車の方が先入しているので、青になるのを待ちきれず発進した方へ10%加算されます。双方に非はありますが、後から進入する車の方が先入車を目視でき、回避できるという理由から修正要素となっています。

1-4.車用信号がなく歩行者専用信号が青の車と赤信号を無視した車の事故

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

幹線道路などでは直進する車の信号のみが設置されていて、側道には横断する車の信号がなく、歩行者専用の信号しか設置されていないケースがよくあります。

側道の歩行者信号が青の状態で広い道路へ進入した車と、広い道路の直進信号が赤なのに無視して直進しようとした車との事故が起きた場合、過失割合は赤側の方が高くなって70%、歩行者信号青側は30%となります。

概ね、図Bの信号を無視している車の方が視界は広く、歩行者信号しかない図Aの方が視界は悪くなります。

歩行者信号が青であれば図B側の信号が赤と判断できるので道路状況を確認せずに進入してしまうと、当然、側方不注意が図Aの車に与えられるので、車用信号がない時は必ず左右の安全を確認してから発進してください。

2.信号機のない交差点で直進する車同士

2-1.車幅がほぼ同じ道路の信号機がない交差点で先入した車との事故

事故状況
過失割合
A:40% B:60%

車幅がほぼ同じ道路の場合、標識や標示で指定されていない限り、どちらが優先ということはありません。このような道路の交差点で交通整理が行われていない(信号機がない)時は交差点に先入した方が優先となります。

図ではAの車が交差点に先入しており、Bの車が優先順位を守らなかったことから過失割合はAが40%、Bが60%となります。

過失割合が比較的近く、双方に非が与えられるのは交通整理が行われていない交差点において、進入する際は左右の確認が義務付けられていることが理由です。このケースではどちらも進入する車を目視できるので事故を回避できる可能性が十分にあると判断されます。

Aの方がBを目視できるので、仮にAが加速を行って事故回避を怠ったと判断された時は過失割合が逆転、Aが60%でBが40%となり、Aが交差点へ先入しているにも関わらずBが減速をせず、また加速した場合はAが20%に減算、Bは80%まで加算されます。

2-2.交通整理の行われていない交差点で一方通行から逆走した車との事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

一方通行の逆走は通行禁止違反となり、行政処分で2点減点となります。したがって一方通行を逆走した車と交差点で事故が起きた場合、逆走側に大きな非があることから過失割合は逆走側が80%、進入側が20%となります。

一方通行に誤って進入した場合、元の道路に戻ろうとしてバックのまま逆走する車を見かけますが、たとえ車の向きが変わっても逆走は変わらないので行政処分、過失割合に変更はありません。

ただし進入側(図ではA)に非がなくても一方通行からの逆走を目視できる状況なので過失割合が20%与えられ、目視しながら減速しなかった場合は回避行動を怠ったとして修正要素になり、さらに10%加算されます。

2-3.広路と狭路の交差点で広路側の車が先入した状況の事故

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

信号機のない交差点で横幅が広い道路と狭い道路の場合、広い道路が優先となります。図では広路のAが交差点に先入しているため、狭路のBは過失割合が高くなって70%となり、Aは30%です。

Bは明らかに事故の回避行動ができるので前方不注意が適用され、さらに加速をした場合は修正要素が加えられて80%となります。

交差点に先入したA側にも修正要素があります。そのひとつがBを目視した時に減速して回避行動を取ったか、ということで、もし減速していなければ10%の加算、また明らかにBが先入していれば同じく10%加算されます。またBが商用トラックなど大型車の場合はさらに5%が加算されます。

2-4.優先道路を直進中の車と非優先側の車との事故

事故状況
過失割合
A:10% B:90%

優先道路は交通整理が行われていない交差点において、優先されることを道路標示、または道路標識で指定されている道路を表します。

優先道路と指定されている時は交差点進入時に徐行する義務がないため、優先道路で非優先側と事故を起こした場合、非優先側の過失割合が高くなって90%、優先道路側は10%となります。

優先道路の標識は青地に白抜きで中央線、つまり交差点の形で優先される方が太く描かれています。この標識がない場合でも優先道路側には中央線が引いてあります。

優先側は交差点において左右の見通しが悪いところでも徐行する義務がなく、逆に非優先側は交差点直前で徐行しなければならず、優先道路を進行する車の進行妨害を行ってはならないと定められています。ただし非優先側が明らかに先入した場合は修正要素となり、優先側に10%の過失割合が加算されます。

2-5.交差点で一時停止を無視した車との事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

市街地など交通整理が行われていない(信号機がない)交差点では一方の道路だけに一時停止が指定されている場所が多くあります。

一時停止側の車は停止線位置で一時的に、完全に停車しなければならず、交差する道路で進行する車の進行を妨害してはなりません。したがってこのケースの過失割合はBが80%、Aが20%となります。

本来、一時停止を無視した場合は全面的な過失割合となりますが、図ではBが先入しているので優先されるA側にも回避行動が取れることから20%が加算されますが、Bが完全に一時停止を行っていた場合は60%まで減算されます。

3.信号機のある交差点での右折車と直進車

3-1.対面する信号が青の状態で直進車と右折車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

同一道路で対面する車の信号がともに青の状況で、右折車が直進車と事故を起こした場合の過失割合は右折車の方が大きく80%、直進車は20%となります。

直進方向が青であれば右折方向の信号は当然、赤の状態になるので右折車は直進車の進行を妨害してはならないと道交法で定められています。右折車は直進車が通過後、安全を確認してから進行しなければなりません。

ただし直進車が速度超過の場合は修正要素となります。図ではBの過失割合が大きくなりますが、Aが15km/h以上の速度超過をしているとBは十分に曲がれるだろうと思っても速度が速いので事故の起きる可能性が高くなります。

この場合のAの加算は10%、速度超過が30km/h以上であれば30%が加算され、Aの方が60%と過失割合の比率が逆転します。

3-2.直進車の信号が青から黄色に変わる状態で右折車との事故

事故状況
過失割合
A:70% B:30%

直進車の信号が青から黄色に変わっている状態で、交差点中央から右折する車と事故を起こした場合の過失割合は直進車の方が高くなって70%、右折車は30%となります。

黄色の信号は目視した段階で定められた停止線位置に停止しなければなりませんが、急ブレーキで停止線位置に止まれない場合は安全を確認しながら進行してもよいことになっています。

しかし信号と同時に右折車が目視できる状態であれば事故回避の義務が生じることから過失割合が高くなっています。

一方の右折車は合図(ウインカー等)を怠ったまま右折して事故を起こした場合、修正要素となり10%が加算されます。青から黄色に変わった瞬間はどちらのドライバーにも相手が止まるという楽観的予測をしがちで、「だろう運転」による典型的な事故例といえます。

3-3.同一道路上で対面信号が黄色、右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:50% B:50%

3-2のケースと似ていますが、すでに信号が黄色の状態でそれぞれ交差点に進入しているため、過失割合は双方に同等の非があることから50%ずつとなっています。

ただし修正要素では図Aの直進車に対して有利に働きます。本来、図Bは出来る限り道路の中央に寄り、交差点中心の内側を徐行しながら右折しなければなりませんが、徐行しなかった場合は10%、早回り右折(交差点中心まで進まず手前で右折すること)や大回り右折(道路中央に寄らず右折すること)をするとそれぞれ5%が加算されます。

早回り右折、大回り右折は道交法で交差点右左折方法違反に相当するため、行政処分として反則点数1点が加算されます。交差点での右折はできるだけ中心の内側を正確に曲がるようにしてください。

3-4.同一道路上で対面信号がともに赤の状態で右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:50% B:50%

右折車、直進車ともに赤信号で交差点に進入して事故が起きた場合、過失割合は同等で双方ともに50%となります。ただし3-3と同じように、双方に事故責任はありますが、修正要素では直進車優先が適用されます。

右折車がウインカーを出さずに曲がった時は10%、直近右折(直進車が近寄った状態で右折すること)も10%、3-3と同じく早回り右折や大回り右折はそれぞれ5%が加算されます。

ただし直進車にも速度超過による修正要素があり、15km/h以上の制限速度違反であれば10%、30km/h以上は20%の加算となります。

直近右折は直進車が通り抜けた後、あるいは通り抜ける前に、速やかに右折しようとして起きる事故です。直進車の速度がしっかり把握していないと焦りから早く発進しがちになるので通り抜けたことを確認してから右折を行ってください。

3-5.青信号で交差点に進入、対面信号が赤になった状態で直進車と事故

事故状況
過失割合
A:90% B:10%

交差点へ進入した時は信号が青だったのに、同一道路で対面の車が途切れず信号が赤に変わってしまうのはよくあることです。

赤に変わってしまったので右折しようとした時に、対面から赤信号を無視して直進してきた車と事故を起こした場合の過失割合は直進車が90%、右折車が10%となります。

図ではBが青信号で進入した状態で信号が赤に変わり、Aが赤信号を無視した車となります。ただしBにも修正要素があり、徐行せずに右折、また直近右折をした場合は10%、早回り右折や大回り右折をするとそれぞれ5%が加算されます。

赤信号無視の直進車はとかく、速度超過も犯しがちなので、この状況で赤信号無視の直進車を目視した時は通り抜けるのを待った方が無難です。

3-6.黄色信号で交差点に進入、対面信号が赤になった状態で直進車と事故

事故状況
過失割合
A:70% B:30%

3-5とケースが似ていますが、こちらは右折車が青信号ではなく黄色信号で交差点に進入、対面からの車が途切れず赤信号になってしまったケースです。

黄色信号は本来、目視した段階で交差点に定められている停止線位置に停止しなければなりませんが、急ブレーキをかけて後続車と事故を起こす可能性が高い場合、進行が認められています。

しかし安全確認が原則であることから事故を起こした場合、その義務違反として3-5よりも過失割合が高くなり30%、赤信号を無視した直進車は70%となります。

右折側、あるいは右折側の対面で停止している車は基本的に交差点の状況を目視できる状態にあります。たとえ信号が青に変わっても交差点内に車が残っていて、しかも赤信号を無視した直進車があれば、無理して発進する可能性はとても低くなります。

焦って右折するよりも赤信号無視の車が通過してから右折しても十分に間に合うので、直進車直近の右折はできるだけ避けるようにしてください。

3-7.右折信号が青、同一道路の直進信号が赤で右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:100% B:0%

車線の多い道路では右左折や直進を認める矢印式信号機がついています。図ではB側の信号機が直進を赤と標示、右折を矢印式信号機で青と標示しています。

対面のAは当然、赤なので停止しなければなりませんが、これを無視して交差点に進入しています。この状況で事故を起こせば全面的にAの責任となるので、過失割合はAが100%、Bは0%となります。

矢印式信号が青であれば右折車の修正要素は少なくなり、徐行をしない状態でも加算されませんが、早回り右折や大回り右折は道交法で交差点右左折方法違反に相当するので、事故が起きた場合は修正要素として加算の対象になることがあります。

4.信号機のない交差点での右折車と直進車

4-1.道路幅が同じ時の直進車と対面からの右折車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

信号機がなく、交差する道路の幅が同じという状況では直進車優先の原則が働くので、この事故の場合の過失割合は右折車が80%、直進車が20%となります。

ただし、これはあくまでも原則で、交差点そのものの幅が狭い時は視界が悪くなるので、右折車が70%、直進車が30%となります。

信号機のない交差点は車同士の事故が起きやすい場所で、とくに道路幅が同じだと優先順位がつけづらくなりますが、右折車は必ず直進車が優先されるという原則を忘れないようにすることが大切です。

直進車が来る前に右折しようとして直近を通過した時に事故が起きると修正要素が加わり、右折車が90%になる可能性もあります。

4-2.道路幅が同じで左側から出てきた右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:40% B:60%

信号機がない、つまり交通整理が行われていない交差点では運転者同士が道交法の原則を守って走行しなければなりませんが、道交法の原則として交差点では直進車優先、左側優先のふたつがあります。

この両方が自ら優先と判断して事故を起こすと、過失割合は右折車60%、直進車40%となり、直進車の優位性が認められます。

どちらも交差点内に入る時は直進状態となっていますが、図のB車は右折するために交差点内へ徐行しながら進入しなければなりません。そのため、直進車を視認できるというのが過失割合10%加算の理由です。

ただしA車にも15km以上の速度超過が認められた場合は修正要素となり、過失割合は逆転して右折車が40%、直進車が60%となります。

4-3.道路幅が同じで右側道路から右折する車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

交通整理が行われていない交差点では直進優先、左側優先の原則があります。図では右折しようとするB車に取って、A車は直進、しかも左側なので両方の優先順位が認められるため、過失割合はAが30%、Bが70%となります。

Aに30%加算されるのは信号機がない、交通整理が行われていない交差点では双方に注意する義務が生じるという理由からです。

この状況は修正要素によって過失割合が異なってきます。たとえばBが徐行せずに交差点へ進入すれば10%、右折禁止の場所であれば違反となってさらに10%が加算されます。

またAも徐行なしで交差点に進入すれば10%、15km/h以上の速度超過が認められると10%加算となり、Bに修正要素がなければA、Bともに50%の相殺となります。

4-4.道路幅が異なる交差点で狭路の右折車と広路の直進車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

狭路と広路による交差点では当然、広路が優先されます。図ではA車に取ってB車は左側優先の原則に当てはまりますが、この場合、A車が直進であること、広路であることの2つの優先事項が働くため、過失割合はA車が20%、B車が80%となります。

狭路から広路へ右折する場合、運転者は広路の交通状態を把握し、左右から進行してくる車への注意が必要です。そのためには交差点へ徐行しながら進入しなければなりませんが、徐行を怠ると修正要素として10%が加算されます。

さらにA車が接近していることを視認していながら側近を右折して事故を起こすと10%加算、合計100%となり、全面的に事故の過失割合を負うことになります。

ただしB車が完全に右折している状態でA車が徐行しなかったために事故が起きた場合はA車に15%の過失割合が加算されます。

4-5.優先道路を直進する車と交差する道路から右折する車との事故

事故状況
過失割合
A:10% B:90%

図では直進する車側にセンターラインが引かれているので優先道路を表しています。中央線または車両通行帯が道路標示されている道路は交差するすべての道路より優先されるという原則があるので、右折車Bの過失割合は高くなり、90%となります。

A車が10%加算されるのは交差点内における事故は双方に必ずなんらかの責任があるという原則が理由です。

優先道路側の直進車は基本的に交差点への進入に際し、徐行する義務はありません。逆に右折車が徐行を怠った場合、修正要素が加わって全面的に右折車の過失割合となります。

ただし右折車がすでに交差点へ進入、右折を始めた状態であれば直進車にも修正要素が発生、15%が加算されます。

4-6.広路から右折する車と狭路から直進する車の事故

事故状況
過失割合
A:60% B:40%

交差点の事故では一般的に右折車の過失割合は高くなりますが、図のようにB車が広路からの右折、A車が狭路からの直進という場合、A車は直進優先に当てはまりますが、A車から見てB車は広路、左側という2つの優先事項が認められるため、過失割合は直進側A車の方が高くなって60%、B車は40%となります。

修正要素としてはB車の徐行があります。広路であっても右折する場合は徐行が原則となるので、これを怠ると過失割合が10%加算となりますが、すでに進入している状態でA車が直進してきた場合は、A車に徐行、または停止義務が生じるので加算はなく、またA車が視認できた状態で早回りしても加算はありません。A車が徐行しなければ当然、10%が加算されます。

4-7.広路から右折する車と左側の狭路から直進する車との事故

事故状況
過失割合
A:50% B:50%

信号機がない交差点では直進優先、左側優先の原則があります。広路から右折、狭路からの直進で事故が起きた場合、どちらにも優先と過失が発生するため、過失割合は右折車、直進車ともに50%となるので相殺されます。

広路は優先道路となるので直進である限り徐行の必要はありませんが、右折する際には直進する対向車への注意が必要で、直進車との距離が十分であると判断しても徐行しながら右折しなければなりません。この徐行を怠ると修正要素となり、図B車は加算が発生して60%となります。

またA車も狭路なので優先道路を右折しようとするB車を視認した時は減速しなければならず、これを怠ると10%の加算が行われます。したがって双方が徐行、減速しながら事故を起こした場合でもA、Bともに50%となり、相殺となります。

4-8.右折する側の道路に停止線がある交差点で直進車との事故

事故状況
過失割合
A:15% B:85%

交差する道路で停止線がある場合、車は一時停止を行い、その後、左右の安全を確認して徐行しながら交差点へ進入しなければなりません。その際、左右から直進してくる車を視認した場合は、その進行を妨げてはならないと道交法で定められています。

したがって停止線のある道路から右折して直進車と事故を起こした場合は右折車の過失割合が高くなって85%、直進車は前方不注意から15%加算されます。

修正要素としては直進する図のA車が減速しない場合、または15km/h以上の速度超過をしていた場合、それぞれA車に10%加算されますが、B車が直進するA車を視認していながらもA車の側近で右折した時は早回りという修正要素が加わり、B車に15%加算、全面的にB車が過失割合を負うことになります。

4-9.直進する側の道路に停止線がある交差点で右折車との事故

事故状況
過失割合
A:70% B:30%

停止線、または一時停止の道路標識がある道路では交差する道路の交通状況に関わらず、停止線手前で必ず一時的に停止し、その後、安全を確認してから交差点に進入しなければなりません。その際、交差する道路の車の進行を妨害することも禁止されています。

信号機のない交差点では直進車に優先順位が与えられますが、一時停止がある場合はたとえ交差する道路側から右折車が出てきた時でも右折車が優先となります。したがって図の状況の過失割合はAが70%、Bが30%となります。

A車からB車が見えにくいケースもありますが、そのための徐行発進であることを忘れないようにしてください。B車が徐行しなかった場合、またはA車の側近で早回り右折をした場合はそれぞれ10%、15%が加算されます。

4-10.停止線のある道路から直進する車と右側道路から右折する車の事故

事故状況
過失割合
A:60% B:40%

停止線のある道路では必ず一時停止し、左右の車の交通を妨害しないように交差点へ進入しなければなりません。しかし図の状況ではB車にとってA車は左側となるため、左優先の原理が働くので過失割合はAの方がやや重く60%、Bに左側優先を怠ったとして40%が加算されます。

図の状況はA車、B車ともに相手を視認しやすい位置にいるといえます。しかし右折車は直進するA車は一時停止なのでどうしても右側から来る車に注意が向きやすく、A車は止まったまま「だろう」運転に陥りやすい状況でもあります。

B車はA車とアイコンタクトを取り、右折が終わるまでA車が待っていることを確認してから進入するようにすれば事故の確率が極端に下がります。

5.信号機のない交差点での左折車と直進車

5-1.道路幅が同じ交差点で直進車と左折車の事故

事故状況
過失割合
A:50% B:50%

信号機がなく、交通整理の行われていない交差点で道路幅が同じ場合、道交法の原則である直進優先、左側優先を運転者が守らなければなりません。しかし、図の場合はどちらも優先の状況であり、どちらも相手に譲らなかったことから過失割合は50%ずつとなって相殺されます。

交差点の事故は一般道路で起きる確率をしのいでおり、とくに右左折車と直進車の事故率が高いという結果が表れています。

信号機のない交差点では運転者同士が原則を守らないと事故の起きる確率が高くなります。たとえお互いが優先である状況下でも事故を起こすくらいなら相手に譲った方が賢明です。

なお、見通しの良い道路の場合、それだけで直進するA車に10%の修正要素が加算され、さらに減速せずに進行すると10%が加算、合計70%となり、過失割合が高くなります。

5-2.狭路から左折する車と広路を直進する車の事故

事故状況
過失割合
A:70% B:30%

狭路と広路が交差する場合、広路が優先道路となり、狭路の左折車は直進車が過ぎてから左折しなければなりませんが、一方、広路直進車にも左側優先の原則が働くので、図の状況の過失割合は左折車Aが70%、直進車Bが30%となります。

Bは広路を直進だからといって、すべてに優先されるわけではありません。とくに優先道路として指定されていない限り、左側から進入する車に対しては注意を払い、徐行する義務があります。

修正要素としては左折車Bの徐行義務があります。直進車Aを視認していながら徐行せずに交差点へ進入、左折した場合は10%の加算、逆にAはBが進入してくることを視認しながら減速しなかった場合、10%が加算されます。

5-3.優先道路を直進する車と左折車の事故

事故状況
過失割合
A:90% B:10%

図では直進車B側の道路にセンターラインが引かれています。これは優先道路であることの道路標示であり、優先道路を直進する車はたとえ交差点でも徐行する義務がありません。

したがって左折する車Aの過失割合が高くなって90%、直進車Bは車同士の事故の場合、双方になんらかの責任があるという原則から10%の過失割合が与えられます。

また、Aが徐行なしで優先道路に進入して事故を起こすと10%の修正要素が加算されるので事故の責任は全面的にAが負うことになります。Bの修正要素はあまりありませんが、15km/h以上の速度超過が認められた場合は10%加算される可能性があります。

5-4.一時停止の標示がある道路からの左折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:80% B:20%

一時停止の標識、または道路上の標示がある場合は停止線手前で必ず一時的に止まり、その後、交差する道路の安全を確認した上で進入しなければなりません。

したがって図の場合、右から来る直進車Bの進行を妨げてはいけないことから左折車Bの過失割合が高くなって80%、Bは優先される直進側ですが信号のない交差点では左側優先の原則があるため、20%の過失割合となります。

修正要素は双方にあり、左折するAが徐行しないまま進入すると10%加算、BはAを視認しながら減速を行わなかった時に10%、さらに15km/h以上の速度超過で10%加算され、40%以上の過失割合になる可能性があります。

たとえ優先される直進側であったとしても、信号のない交差点では左右の道路から進入してくる車への注意は怠らない方が賢明です。

6.信号機のない交差点での右折車同士

6-1.道路幅が同じ交差点で右折車同士の事故

事故状況
過失割合
A:40% B:60%

図ではA車、B車ともに右折しようとしているため、条件は同じように見えますが、信号機がなく、交通整理が行われていない交差点では左側優先の原則があります。

したがってB車はA車の右折を待ってから走行しなければならないことからB車の方が若干、過失割合が重くなって60%、A車も優先とはいえB車の走行を妨害したことから40%の過失割合となります。

図ではB車にとってA車がウインカーを出して右折することが分かりやすいのに対してA車はB車が右折するのか分かりづらい状況になっています。したがってB車はA車とアイコンタクトを取るようにすれば事故は未然に防げることになります。

またA車が左側から来る直進車に気を取られ、アイコンタクトができない状態であれば無理に右折せず、A車が右折するのを待った方が安全といえます。

6-2.狭路と広路の交差点における右折車同士の事故

事故状況
過失割合
A:70% B:30%

狭路と広路では広路が優先道路とされているために図の事故ではAが70%、Bが30%という過失割合になります。

しかし信号機がなく交通整理が行われていない交差点での事故は原則だけでなく、さまざまな修正要素が加味されることが多く、広路だからといって必ずしも原則通りの過失割合になるわけではありません。

たとえば右折の方法だけでも修正要素となります。広路側のB車が交差点の中央を超えて大回りすれば当然、狭路側Aの進行を妨害することになるので10%、またAが交差点中央よりも手前で曲がる早回りをすればBとの事故確率が高くなるので10%がそれぞれに加算されます。

その他、徐行や減速、速度超過なども修正要素となるので、事故を起こした時は自車と相手の車との状況をしっかりと把握しておくことが大切です。

6-3.優先道路から右折する車と非優先道路から進入して右折する車との事故

事故状況
過失割合
A:80% B:20%

優先道路は交通量が多いこと、道幅が広いことから設けられる原則で、優先道路を表すために道路に標示、または交差する非優先道路には標識が立てられています。

非優先道路から優先道路に進入する際は優先道路を通行する車の進路を妨害してはならず、左右の安全を確認してから進入しなければなりません。

図ではB車が通行する道路にセンターラインが引かれているので優先道路であることが分かります。一方のA車が通行する道路は車幅が狭く、交差する道路が優先道路であることも視認できます。

したがって図の事故ではA車の過失割合が高くなって80%、B車は信号機のない交差点における左側優先という原則が適用されて20%の過失となります。

6-4.一時停止標識のある道路側右折車と標識のない道路側右折車の事故

事故状況
過失割合
A:75% B:25%

一時停止の標識、または標示のある道路は交差する側の道路が優先することを意味しています。一時停止して左右の安全を確認しなければ事故の確率が高くなるために一時停止を定めているのです。

したがって、その一時停止のある道路側の車が事故を起こすと過失割合は当然、高くなります。図の事故では一時停止のある道路側のA車が75%、優先道路側のB車は25%となります。

B車の事故状況を考えると25%の過失割合に不満を覚える人がいますが、信号機がなく交通整理が行われていない交差点では左側優先という原則があり、たとえ優先道路であったとしてもB車への注意が足りなかったという理由でA車の過失割合が定められています。

完全停止以外の車同士の事故は、双方になんらかの原因があるというのが過失割合の原則であることを覚えておいてください。

7.交差点で左折する車と対向車線からの右折車

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

信号機のない交差点で起きやすい事故例のひとつです。交通整理が行われていない交差点での優先順位は直進車、左折車、右折車となっており、図では左折するA車の方に優先権があるので過失割合はAが30%、右折するB車が70%となります。

図の事故例も修正要素が多くあります。たとえばどちらが先に交差点へ進入したか、ということです。

B車が交差点中央まで進入してきており、A車から十分に視認できるのにB車の前へ出て左折しようとすればA車に10%が加算され、またB車も交差点中央からA車寄りの大回り右折をすればA車の進行妨害となって10%が加算されます。

図のように、右左折する方向に横断歩道があると運転者は歩行者に注意を取られがちですが、対向する車とアイコンタクトを取って、どちらが先に進入するのか見極めることも大切です。

8.信号機のない交差点での右折車と後続の直進車

事故状況
過失割合
A:90% B:10%

図は走行車線のない道路で、先行するB車が交差点で右折しようとしているのに後続のA車が道路中央をはみ出して追い越しをかけて事故を起こした状況です。

この過失割合はA車の方が重く90%、B車は側方注意義務を怠ったことから10%の過失割合が与えられます。ただしB車が完全停止していた場合はA車が全面的に過失割合を負うことになります。

A車の過失割合が重いのは、交差点手前30mは追い越し禁止の原則があるからです。さらに追い越すために15km/h以上の速度超過をしていた場合、10%の修正要素が加わるのでB車の完全停止と同じくA車の過失割合は100%となります。

9.中央線のある交差点での右折車と追越直進車

事故状況
過失割合
A:50% B:50%

図はセンターラインのある道路の交差点内で後続A車が前方で右折しようとしているB車と事故を起こした状況です。この場合の過失割合は双方とも50%となって相殺されます。

8とよく似た状況なのになぜ50%?と思われがちですが、8と大きく異なっているのはセンターラインがあること、つまり優先道路上の追い越しだからです。

一般道では原則的に交差点手前30m内では追い越しが禁止されていますが、優先道路に限っては交差点内でも追い越しが可能となっています。したがってA車は道交法の違反をしていませんが前方不注意、B車は追い越しをかけているA車に対して側方不注意であることから均等な過失割合となります。

この事故を未然に防ぐには、B車が右折する際、優先道路なので後方A車が右側を追い越すのではないか、というリスクを考えることが重要なポイントとなります。

10.交差点での右左折車と後続の直進車

10-1.信号機のない交差点で右折する車と直進する車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

図の状況は8と似ています。車線が標示されていない道路で先行車が右折しているところに後続車が直進して事故を起こした訳ですが、大きく異なるのは先行車が道路中央に寄らず、右折しようとしているところです。

この状況下では先行車の方が過失割合は高くなって80%、後続直進車も前方不注意から20%が科せられます。

これは左折の時も同じで、交差点で左折するためには予め左側に寄り、左折を表すウインカーを点灯させ、後続車に知らせなければなりません。

ただし直進車Aにも修正要素があり、15km/hの速度超過をしていた場合は10%、また右折車Bがすでに交差点に進入しているのに減速しなかった場合も10%加算されます。

10-2.変則構造の交差点で右折する車と後続の直進する車との事故

事故状況
過失割合
A:40% B:60%

交差点は十字路ばかりではありません。図のように変則構造で、右折する車がほぼV字を描かないと曲がれないような交差点もあります。

右折する側の道路幅が狭い場合、右折車Bは道路の中央に寄ると曲がりきれなくなる可能性があるため、直進道路のやや左側に寄って回頭しなければなりません。

その際、後続車が直進してくる可能性は十分に考えられるので、右折する際には側方注意が義務づけられます。したがって図の状況の事故の過失割合はBがやや重く60%、直進のA車は40%となります。

修正要素B車側の方が多くなります。右折前の徐行なし、ウインカーの合図遅れはそれぞれ10%、合図なしやAの直近右折はそれぞれ20%となり、最悪、事故の全面的責任を負うこともあります。

11.T字型交差点での右左折車と直進車

11-1.道路幅が同じT字型交差点で右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

T字型交差点も他の交差点と変わらぬ道交法の原則が適用されます。信号機がなく、交通整理が行われていないT字型交差点で、道路幅が同じ場合は突き当り道路側から進入する車に注意が求められることから、事故を起こした際の過失割合は重くなり、図のB車が70%、A車が30%となります。

交差点内の原則は直進車優先、左側優先の順となるため、B車の方が過失割合は多くなっていますが、B車の方が明らかに先入していればA車に10%、またA車が15km/h以上の速度超過が認められると10%がそれぞれ加算され、状況によっては50対50となり相殺されることもあります。

11-2.広路の直進車と狭路から右折する車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

T字型交差点でも狭路と広路の場合はありますが、原則は同じで、広路の方が優先道路となります。したがって広路直進車の方が圧倒的に過失割合は低くなって20%、狭路側右折車は80%となります。

信号機のないT字型交差点で狭路から広路に出る場合、道路幅が同じ状態よりもさらに注意が必要です。図B車の右側に障害物があるとB車は広路の交通状況を確かめるために視認できる場所まで車の前部を突き出さなければなりません。

しかし直進するA車からB車の視認状況は極めて悪いため、B車が視認のためとはいえ車前部を急に広路へ突き出すと、それだけでも接触事故を起こす可能性があります。

視界の悪いT字型交差点で右折する際は最徐行が原則で、これを怠るとB車に10%の修正要素が加わることもあります。

11-3.一時停止のある突き当り路からの右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:15% B:85%

一時停止の標識、または標示のある道路では必ず一時的に停止し、その後、安全を確かめてから徐行で通行しなければならないと道交法に定められています。

この一時停止を無視してT字型交差点に進入、左(または右)からの直進車と事故を起こした時の過失割合は、一時停止のある道路側からの右折車が85%と高くなり、直進車は前方不注意と左側優先の原則があることから15%が科せられます。

一時停止後、徐行しながらT字型交差点に入り、そこで事故を起こした場合は修正要素が加わって15%が減算され、過失割合は30%となります。

しかし図A車が接近しているのにB車が間に合うからといって交差点に進入しても、それは修正要素となる先入に該当にないことを覚えておいてください。

11-4.突き当り路から優先道路へ右折する車と直進してくる車との事故

事故状況
過失割合
A:10% B:90%

図では直進車Aの道路にセンターラインが引かれており、これは優先道路を表しています。この優先道路へ突き当り路から右(左)折の際は、直進する車の進行を妨げてはならず、また優先道路側のA車は交差点でも減速する義務がありません。

したがって突き当り路から進入するB車は90%の過失割合が科せられ、A車は10%となります。

信号機のない突き当り路から優先道路に進入する場合、見通しの良い状況であればA車、B車ともに視認性は高まります。しかし視認性は良くてもA車には「B車が飛び出さないだろう」という認識を持って運転しているため、減速することはあまりなく、また減速の義務もありません。

したがって事故を避けるためにはB車が必ず左右の交通状況を把握し、安全に進入できる車間を確保してから進入することが重要です。

11-5.突き当り路から右折する車と直進道路から右折する車の事故

事故状況
過失割合
A:40% B:60%

図の状況は直進道路、突き当り路の両方からT字型交差点に進入したA車、B車が共に右折しようとして起きた事故です。

侵入速度や先入、交差点の曲がり方など、条件が同一と見做された場合の過失割合はA車が40%、B車が60%となります。これは交差点の優先順位で左側が先行するという原則に基づいていることが理由です。

図ではA車から見てB車は右側となり、B車はA車が左側となることからB車の方が10%多く科せられていますが、明らかにB車の方が交差点に先入、またA車がB車の側近で右折しようとした場合はそれぞれ修正要素10%がA車に加算されます。

その他、進入の際の徐行も修正要素となるので、事故が起きた時の双方の状況をしっかりと把握しておくことが過失割合の判断に役立ちます。

12.道路外からの出入車と道路の直進車

12-1.駐車場から道路に出て右折する車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

路外から進入するケースはいろいろあります。図では駐車場となっていますが、ガソリンスタンドやファーストフードのドライブスルーなども同じ条件です。

駐車場から道路に出る場合は通行中の車の進行を妨害しないことが原則です。したがって図B車は本来、A車が通過するのを待って右折しなければいけなかったことから過失割合は80%と重く、A車は20%となります。

A車に過失割合が科せられるのはB車が視認できた状態で、右折する「かもしれない」という判断があれば事故を避けられた、という理由で前方不注意が適用されます。ただしA車側の道路が交通量の激しい幹線道路であった場合、修正要素として5%減算されます。

12-2.駐車場からの右折車とゼブラゾーンを直進する車の事故

事故状況
過失割合
A:30~40% B:60~70%

ゼブラゾーンは右折車を誘導するための道路標示です。ゼブラゾーンが途切れたところから右折車線になると標示しており、この標示内を走行したからといって違反になることはありませんが、本来は通行帯として認められているわけではないので、ゼブラゾーン内で事故を起こすと過失割合は一般道と異なってきます。

図では直進車と路外からの右折車であるため、一般道ではB車の過失割合が大きくなりますが、A車はゼブラゾーン内なので、B車が60~70%、A車が30~40%となります。

修正要素としてはA車、B車ともに徐行、速度超過などが挙げられ、それぞれ10%の加算が科せられます。

12-3.路外からの左折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%
>12-1と同じ状況で、この図では駐車場からの車が左折となります。過失割合は変わらずB車が80%、A車が20%です。

ただし修正要素はいろいろあり、そのひとつはB車が駐車場から道路へ進入する時に車の前方だけ出して一時停止する「頭出し待機」の状態から発進して事故になった時はB車が10%減算されます。

これは「頭出し待機」をA車が視認すれば、A車は当然、B車が道路に進入してくるつもりがあると判断でき、徐行すれば事故が回避できた可能性があるという理由からです。

ただしB車が徐行しなかった場合は10%、またA車が通行する道路が幹線だった場合も10%が加算されます。

12-4.駐車場に入る右折車と直進車の事故

事故状況
過失割合
A:10% B:90%

駐車場(路外)に入るために右折する場合、対向車線から通行してくる直進車の進路を妨害しないことが原則です。したがって図ではB車の過失割合が重くなって90%、A車には10%が科せられます。

修正要素としては12-3と同じように「頭出し待機」があります。

右折するために停止、対向車線に向かって車前部を少し右側に向け、右折合図のウインカーを出していれば対向車にも路外右折が認識できるので、その後に事故が起きた場合は10%の減算、逆にA車はB車が右折しているにも関わらず減速しなかった場合は10%、15km/h以上の速度超過が認められた場合は10%、それぞれ加算されます。

12-5.ゼブラゾーンをまたいで右折する車とゾーン内を直進する車の事故

事故状況
過失割合
A:20~30% B:70~80%

12-4と状況は似ていますが、この図では道路中央にゼブラゾーンが設けられており、ゾーン内での右折車と直進車の事故になります。

ゼブラゾーンは右折車を誘導するための道路標示で走行が違反となることはありませんが、誘導に従わなかった、という理由で直進車の過失割合が高くなります。図A車は20~30%、B車は70~80%となります。

A車側が渋滞している時に比較的多く発生する事故です。A車は早く右折したいためにゼブラゾーンを直進、一方のB車は渋滞して連なる車が止まっているので路外に出やすいという状況です。

右折するB車の方が原則として過失割合が高いことには変わりありませんが、右折するためにゼブラゾーンを無視すると事故が起きた時の過失は大きくなると想定しておいてください。

13.対向車線から対面する車同士

事故状況
過失割合
A:0% B:100%

図では道路にセンターラインが引かれています。これは通行を方向別に区分するために設けられた道路標示で、センターラインが黄色、または白の実線の場合、そのラインを越えて追い越し、運行することはできないと道交法で定められています。

したがって図の事故はB車が全面的な過失割合を負うことになって100%、原則としてA車には過失割合が発生せず、0%となります。

前車を追い越そうとするB車がセンターラインを超えるのは比較的見かけるケースですが、前方車が大型トラックなど対向車線が見えない状況で追い越しをかけるのは道交法違反となるだけでなく、対向車との正面衝突の可能性が高まり、大変、危険です。

対向車との事故は損害が大きくなりがちで、しかも人身傷害も発生しやすいため、センターラインを越える無理な追い越しは絶対に行わないでください。

14.同一車線上の車両同士

14-1.後続車がセンターラインをはみ出して先行車を追い越した時の事故

事故状況
過失割合
A:10% B:90%

図ではセンターラインが実線の道路標示となっているので、センターラインをはみ出した追い越しは道交法違反となります。したがって図B車の過失割合は重くなって90%、先行車のAは追い越し車への進路譲渡という原則から10%が科せられます。

ただし後続車Bの追い越しがあまりに無謀でA車は進路を譲ることが不可能だったと判断されればA車に事故責任はなく、B車の過失割合は100%になります。

この進路を譲るという行為がA車の過失割合を左右します。追い越しをかけているB車に進路を妨害、譲るのを拒否して加速すると逆に修正要素としてA車に20%が加算されます。

14-2.追い越し可能な道路で追い越した後続車と先行車の事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

図ではセンターラインが実線ではなく破線で描かれています。これは対向車の安全を確認した上で先行する車を追い越すために、はみ出しても構わないという道路標示です。

後続のA車はセンターラインをはみ出して先行のA車に追い越しをかけていますが、これは違反行為ではありません。しかし追い越し後に事故が発生した場合は事故原因を作ったのがB車であることから80%の過失割合となり、A車は20%となります。

先行車は追い越しされる時に、道交法27条で定められている「追い越される側の義務」が生じます。制限速度内でより速い車に追い越される時は道路幅が十分でない場合、できるだけ左側に酔って進路を譲らなければならないとされており、追い越された時の事故ではこの義務から20%の過失割合が科せられるのです。

15.進路変更する車と後続の直進する車

15-1.進路変更した先行車と直進する後続車との事故

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

先行する車がいきなり進路変更して直進する後続車と事故を起こした場合の過失割合は事故発生の原因が先行車にあることから図ではB車が70%、A車が30%となります。

A車に過失割合が発生するのは進路変更する車に対し、進路を譲らなければならないという基本原則が理由です。

この状況で事故が起きやすいのはA車がB車の存在に気がつかず、ウインカーも出さずにいきなり進路を変更、A車が進路を譲れる可能性が少なかったというケースです。

B車がウインカーを出さなかった場合は修正要素として20%、また初心者マークやシルバーマークが標示してある車の場合は10%、それぞれB車に加算されます。

15-2.ゼブラゾーン直進車とゼブラゾーン終了後に進路変更する車の事故

事故状況
過失割合
A:40~50% B:50~60%

ゼブラゾーンは右折車を誘導するための道路標示です。ゼブラゾーンに進入しても違反とはなりませんが、本来はゼブラゾーン終了後に右折させることを目的としているため、ゼブラゾーンを無視した運転をしていると、その責任を負う意味で過失割合が高くなります。

図では先行するB車が進路変更したので後続のB車と事故を起こした状況で、一般道であればB車70%、A車30%の過失割合が基本ですが、事故の起きた場所がゼブラゾーン終了地点だったためにB車は50~60%、A車は40~50%の過失割合に変わってきます。

過失割合の基本に幅があるのはA車が右折のために加速した場合やB車がA車に対して進路を譲らなかった場合など、さまざまな修正要素があることからです。

実際、ゼブラゾーンを通過する時は左側から車が右折するのではないか、という不安が大きいので、ゼブラゾーンを無理に通行して右折することは避けた方が賢明です。

16.対向車線へ転回する車と後続の直進車

16-1.転回途中の先行車と後続の直進車との事故

事故状況
過失割合
A:20% B:80%

転回、とは道交法用語で、一般的にはUターンと呼ばれています。道交法では転回時、他の車や歩行者の通行を妨げてはならないと定められているので、先行する図B車は後続のA車が通過後、転回しなければならないことから過失割合は高くなって80%、後続のA車は20%となります。

Uターンは交通状況によってはかなり危険な運転となります。したがって後続車にははっきりと分かるようにウインカーを出して合図しなければなりません。

また転回することが危険と思われる場所でUターンを行うと、それも修正要素となり、それぞれ10%がB車に加算されます。

県道や国道など幹線道路の多くはUターンを禁止していることが多く、必ず道路標示や標識でドライバーに伝えていますが、このUターン禁止を無視して事故が起きた場合はUターンした車が全面的な事故責任を負うことになります。

16-2.転回終了した車と対向車が追突した事故

事故状況
過失割合
A:30% B:70%

Uターンが完了して対向車線に入った車と、対向車線から直進した車が追突した場合の過失割合はUターンした車が70%、追突した車が30%となります。

図ではB車がUターンを完了、A車が直進して追突しています。B車が事故原因を作ったので過失割合が高くなるのは納得できますが、A車はいきなり前に車が表れたので追突してしまったのに過失割合が発生するのは納得できないという人もいるはずです。

しかしA車は対向車線でB車がUターンすることを視認できたことから、前方不注意の原則が当てはめられるために過失割合が発生するのです。

ただしB車がウインカーを出していなければ10%、Uターン禁止の道路やA車の直近で急なUターンを行ってB車が回避できない状況では20%が加算され、状況によってはB車がすべての過失割合を負うこともあります。

17.駐停車している車へ追突する直進車

17-1.先行車が急停止した時に後続車が追突した事故

事故状況
過失割合
A:70% B:30%

追突は基本的に後続車の過失割合が高くなります。道路上、先行車がなんらかの事情で急ブレーキをかけ、後続車が追突した場合は先行車が30%、後続車が70%となります。

これは先行車が急ブレーキをかけた状態でも止まれるだけの車間距離を開けて通行しなければならないという道交法の原則を根拠としています。

図ではB車にA車が追突していますが、修正要素は数多くあり、客観的にA車が急ブレーキをかけなければいけない場合、たとえば歩行者が飛び出してきた、という状況になるとA車の過失割合は高くなり、10~20%加算されることもあります。

逆に、信号が青なのにA車が赤信号と勘違いして急停止した時はB車の過失割合は減算され、60%となります。その他、初心者マークの有無なども関わってくるので、後続車は十分な車間距離を開けて運転することが事故回避につながるといえます。

17-2.道路の左側端で駐車している車と直進車が追突した事故

事故状況
過失割合
A:100% B:0%

追突事故は基本的に追突した側に過失積金が生じます。道路の左側端に、適切な方法で駐車していた車に追突した場合、追突される側には回避する方法もないことから全面的に追突した側に事故責任が発生します。図では停車中のB車が0%、A車が100%となります。

ただし駐停車する側に過失が認められた場合は修正要素が加わります。道路標識や標示で駐停車が禁止されている場所であれば10%、交差点の側端から前後5メートル以内でも10%加算、駐停車する際に左側端へ寄らず、他の交通の妨害となっている場合でも10%が加算されます。

また夜間、駐停車中に尾灯の不備が認められた際は10~20%加算されることを覚えておいてください。

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