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任意保険未加入のクルマの死亡事故から学ぶ3つの教訓

執筆者
須藤 公保 ファイナンシャルプランナー:須藤 公保
未加入死亡事故

交通事故の中で最も痛ましい死亡事故は、生命を突然に奪われた被害者の無念と共に、大切な人を突然に失った遺族に失意と深い悲しみを与えます。

一方死亡事故の加害者は、自ら招いた重大な過失により他人の命を奪ってしまったことの罪の重さに苛まれ、その家族をも苦しめます。加害者が任意保険未加入でクルマを運転していたとなれば、問題は、さらに広がり遺族への補償の不足が懸念される事態となるでしょう。

ここに任意保険未加入者が起こした痛ましい死亡事故の例があります。加害者の後悔と苦悩、被害者遺族の苦しみと悲しみから学ぶ3つの教訓をご紹介します。

AM7:42分、事故発生!

事故は土曜日の朝、発生しました。被害者Sさん、加害者Tさん共に通勤途中の事故でしたが、加害者は、自宅から取引先を経由して品物を届けて出勤する予定でした。

朝の通勤時ということもあり、双方共「急いでいた」ことが事故の要因です。車両は、Sさんが400ccの中型バイク、Tさんがステーションワゴンを運転していました。

事故現場は、土曜の朝で空いている幹線道路上で、Tさんが一時停止後、脇道から幹線道路に右折で侵入しようとする際にクルマの頭を少し覗かせた瞬間に、右フロントタイヤに真横からSさんが衝突しました。激しい衝突によりSさんは、クルマを大きく飛び越え10mほど飛ばされました。

Tさんにケガはなく、すぐに救急車を呼びます。Sさんは重体だったので、すぐに都立墨東病院に搬送され、緊急手術が始まりました。運転者のTさんは、事故現場にて実況見分後、警察に身柄を保護されます。

任意保険未加入の発覚とSさん死亡までの3日間

事故の相談

私がTさんの友人を介して相談を受けたのは、その日のお昼過ぎでした。しかし内容は、好ましい話ではなく「任意保険未加入の人が事故を起こしたので、数日前に保険契約していたことにできないか?」と言うことでした。

保険は事故が起きてから加入するものではなく、日を遡って加入することはできません。要請だけでも詐欺未遂幇助となるので、相談者に対しすぐに止めるよう警告し、状況を考慮して「弁護士を紹介する」ことを前提に加害者の話を聞くことにしました。

先ずは加害者Tさんの父親と合流し、警察署に保護されているTさんの身柄を受取に向かいます。警察署では、事故を担当した警官から「被害者Sさんは現在も手術中」と聞き、Tさんに事故状況を確認し、一緒に病院に向かいました。

病院にて

Tさんは、病院の手術室の前で被害者の家族と会い、深く謝罪しました。その場で任意保険が未加入であることを告げ、被害者家族から大きな非難を浴びます。

Sさんの手術は、深夜まで続きました。しかし身体の内蔵の損傷が激しく持っても24時間以内と診断されます。事実上、余命を1日以内と宣告された家族の落胆した姿、また加害者の後悔と自責の念は、筆舌に尽くし難いものでした。

その後Sさんは、奇跡的に意識を取り戻しわずかでしたが家族と対話をして、事故から3日後に亡くなりました。

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二輪車は弱者であり、四輪車が絶対的な交通強者

少し話題がそれますが死亡事故の多くは、四輪車に対して交通弱者(歩行者・自転車・二輪車)が被害者となるケースです。四輪車と比べるとぶつかった時の衝撃を直接受けるため、スピードが出ていると死亡や後遺障害を伴う可能性が高くなります。

特に今回の事故が起きた東京都内では、次のグラフを比べて見るとわかる通り全国平均と比べて多いのが特徴です。

死亡事故統計1

警視庁の二輪車の死亡事故統計より

2014年、東京都内で起きた二輪車の死亡事故割合は、約26%となっており全国平均と比べ10%近く高いのが特徴です。都内の道路では、渋滞回避のため二輪車と自転車の利用比率が高く、死亡者の比率が増加する一因になっています。

葬儀への参列、補償手続きの開始

亡くなったSさんの葬儀で「針のむしろに座らされる思い」とは、こういうことだと加害者は実感したはずです。

満足に賠償もできず「恐ろしくて行けない」と言うTさんには、葬儀への出席を促しました。任意保険の未加入という事実により、被害者家族の失望は深く怒りは増幅していましたので、双方にとって後の遺恨を少しでも和らげるよう、葬儀(通夜と告別式)への出席を被害者遺族(配偶者と親)にお願いし了承していただきました。

Tさんは、祭壇を前に土下座をして泣いて詫びていました。

弁護士による示談交渉のポイント

死亡事故では、一般的に葬儀後から具体的な補償の交渉に入ります。今回は任意保険が未加入のため、示談交渉を弁護士に依頼することになりました。

被害者の過失は?

被害者の過失とその割合をはかり、加害者の賠償責任割合を減じる手立てを講じます。

運行供用者の存在は?

加害者Tさんが、取引先に回って出勤するのにマイカーを利用していることから、Tさんの勤務先に生じる「運行供用者責任」を検討します。

通勤時の交通事故は労働災害

被害者Sさんが通勤時だったことから、Sさんの勤務先の労災についても念の為に検討を行います。

被害者と直接話ができない死亡事故の示談交渉では、遺族に対しどれだけの補償を提供できるかが重要です。しかし任意保険未加入の場合、補償が足りないので、様々な方面の責任を考慮して検討します。

加害者の父親が自宅を抵当に入れてお金を借り入れるなど、あらゆる策を講じて被害者遺族から譲歩を引き出します。

この事故の被害者は30代前半で結婚したばかりで、子供はいないと言う状況でした。年齢から勘案すれば、逸失利益は大きくなるケースのひとつです。

また、損害賠償の対象となる遺族は、配偶者と両親になります。賠償金の支払いは、相続とからみ遺族間でも複雑な状況と関係を生みます。弁護士は、そうした背景も考慮しながら交渉を進めるため、慎重に準備します。

「後悔先に立たず」を経験する前に

「後悔先に立たず」とは、正にこういうことです。

加害者のTさんは、事故から10年間、分割支払いにて残りの賠償金をご両親に支払うことを約束し、示談してもらいました。

しかし運行供用者として、連帯で損害賠償責任の債務を負い、多くを実質肩代わりすることとなった会社には、当然居づらくなり程なく退職しています。時期も悪く同条件での再就職はままならず、約束の賠償金支払いに苦労していると聞きました。

また、被害者Sさんの妻は、損害賠償訴訟終了後ほどなくして、姻族関係を終了し旧姓に戻る手続きを行い、Sさんの両親とは実質的に無縁となりました。

Sさんのご両親が、残された奥さんの人生に配慮して強く勧めたとのことでしたが、話を聞いたときの言い様のない無力感を忘れることはできません。

まとめ、3つの教訓

今回の事故事例と死亡事故の被害者統計を見て、学んだことを教訓としてまとめました。

任意保険未加入のクルマの死亡事故から学ぶ3つの教訓

  • 教訓その1:歩行者、自転車、二輪車が交通弱者であることを強く意識する
  • 教訓その2:わずかな過失も死亡事故に繋り被害者・加害者と家族の人生を狂わせる
  • 教訓その3:任意保険に未加入で運転するのは、社会的に無責任な行為である

あたりまえのことですが、運転する人には再確認していただき、交通事故による悲しみを増やさないよう切に願います。

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